東京高等裁判所 昭和30年(う)203号 判決
被告人 大塚清
〔抄 録〕
控訴趣意第一点について。
記録によれば本件はもと傷害罪として島田簡易裁判所に対し公訴の提起と同時に略式命令の請求があり、同裁判所は昭和二十九年九月六日附略式命令をもつて被告人を罰金一万円に処する旨の決定をしたものであること、該略式命令に対し検察官から同月二十日正式裁判の申立があり同裁判所は該申立に基き公判審理の結果、刑事訴訟法第三百三十二条による決定をもつて事件を原裁判所に移送し、原裁判所は訴因変更の手続を経てこれを審理した上、傷害致死罪として原判決をしたものであることは、まことに所論のとおりであるが、裁判所書記官が書類を送達した旨を証明する方法は、必ずしも所論のような送達復命書(送達報告書の意と解する)によらなければならないものではなくて、便宜の方法をもつてこれを記録上明瞭ならしめれば足りるものと解すべきところ、記録に編綴された略式命令書の余白(記録第五丁裏面上部)には昭和二十九年九月七日、謄本を検察官に送達した旨、裁判所書記官補山口光雄の認印ある証明文言の記載があるから、同裁判所書記官補が、同日該略式命令の謄本を検察官に送達したものであることを明認するに足りる。しかして右略式命令に対する検察官の正式裁判の申立は九月二十日であることは前記のとおりであるから本件正式裁判の請求は法定期間になされた適法な請求であることも亦多言を要しないところであつて、右請求に基いてなされた爾後の審判手続には、何等所論のような瑕疵があるものではないから論旨は理由がない。